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vol.150 慢性的な肩こり・腰痛が整骨院で改善しない理由 その保険施術は適切でしょうか?

肩こりや慢性的な腰痛で、整骨院に通い続けている方は少なくありません。

毎回、電気をかけてもらう。
肩や腰を揉んでもらう。
施術後は少し楽になるものの、数日すると元に戻る。

それでも、

保険が使えて、自己負担額が安いから
通えば、そのうち良くなると思っているから
昔から同じ整骨院に通っているから

という理由で、何か月、場合によっては何年も、同じ施術を受け続けている方がいます。

しかし、慢性的な肩こりや腰痛に対して、整骨院で健康保険を使いながら施術を受け続けているのであれば、一度その通い方を見直した方がよいと、僕は考えています。

なぜなら、単なる肩こりや、日常生活からくる慢性的な腰痛は、そもそも整骨院で健康保険を使う対象ではないからです。

さらに、慢性痛を対象としていない保険制度の枠組みの中で、慢性的な肩こりや腰痛の改善を期待し続けても、十分な変化につながらないことは、ある意味では不思議ではありません。

今回は、

整骨院で健康保険が使える範囲
慢性的な肩こりや腰痛が保険対象ではない理由
通い続けても改善しない場合に見直すべきこと
整形外科を受診する重要性
整骨院の保険施術と当院の違い

について、制度上の事実を中心にお話しします。

 

◯整骨院・接骨院とはどのような場所なのか

整骨院と接骨院は、基本的には同じものです。

どちらも、柔道整復師という国家資格を持つ施術者が、骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷などに対して施術を行う場所です。

骨折や脱臼については、応急処置を除き、継続して施術を行うためには医師の同意が必要です。

整骨院は、外傷に対して専門的な役割を持つ場所です。

例えば、

転倒して足首を捻った
スポーツ中に肉離れをした
物にぶつけて打撲した

といった、原因や負傷した時期が明確な外傷は、柔道整復師の専門性が活かされる場面です。

したがって、この記事で整骨院そのものや、柔道整復師の技術を否定するつもりはありません。

今回問題にしているのは、外傷ではない慢性的な肩こりや腰痛に対して、整骨院の健康保険を使いながら施術を続けることです。

 

◯整骨院の「保険診療」は、病院の保険診療とは仕組みが違う

ここから少し、仕組みの話をさせてください。

一般的には「整骨院の保険診療」と呼ばれることがありますが、正確には、病院や診療所と同じ診療報酬の仕組みではありません。

整骨院では、一定の条件を満たす柔道整復師の施術に対して、健康保険から「療養費」が支給されます。

療養費は、本来であれば患者さんが費用を全額支払い、後から保険者に請求する償還払いが原則です。

ただし、柔道整復では「受領委任」という例外的な仕組みが認められています。

患者さんが窓口で自己負担分を支払い、残りの費用を柔道整復師が患者さんに代わって保険者へ請求します。

そのため、患者さんから見ると、病院と同じように保険証などを提示して、一部の金額だけを支払っているように見えます。

しかし、整骨院に行けば、どのような症状でも健康保険が使えるわけではありません。

保険が使えるかどうかは、整骨院に行ったという事実ではなく、どのような原因で、どのような負傷が起きたのかによって決まります。

 

◯慢性的な肩こりや腰痛は、原則として保険対象ではありません

整骨院で健康保険の対象になり得るのは、急性などの外傷性の打撲、捻挫、挫傷、骨折、脱臼などです。

厚生労働省は、単なる肩こりや筋肉疲労などに対する施術は保険の対象にならず、全額自己負担になると明記しています。

つまり、原則として慢性的な肩こりや腰痛は、整骨院で健康保険を使い続けるための対象ではありません。

保険が使えると、患者さんが窓口で支払う金額は少なくなります。

そのため、安く施術を受けられるというメリットを感じる方もいると思います。

しかし、安く通えることと、その施術が現在の悩みに合っていることは別です。

何度も通えることと、改善に向かっていることも同じではありません。

整骨院の健康保険は、本来、外傷性の打撲、捻挫、挫傷、骨折、脱臼などを対象とした制度です。

一方で、慢性的な肩こりや腰痛では、

長時間同じ姿勢が続いている
日常的に肩や腰へ負担が集まっている
背中や股関節が動きにくい
体の使い方に偏りがある
運動量や活動量が不足している
睡眠や疲労の問題が重なっている

など、外傷とは異なる背景を確認する必要がある場合があります。

もちろん、慢性痛の原因をすべて姿勢や筋肉、生活習慣だけで説明できるわけではありません。

しかし、少なくとも、慢性痛を対象としていない制度の枠組みと、慢性痛に対して確認すべき内容が一致していない可能性はあります。

対象としていない制度の中で改善を期待し、同じ施術を繰り返しているのであれば、変化が出にくいこと自体は、ある意味では当然とも考えられます。

これは、整骨院の先生に技術がないという話ではありません。

柔道整復師が自費施術として慢性痛に対応し、十分な評価や施術を行っている整骨院もあります。

問題なのは、

慢性痛に対して保険が使われている
何か月も同じ施術を受けている
それでも改善していない
説明や見通しがないまま通い続けている

という状態です。

 

◯通っているのに改善していないなら、同じことを続けるべきではありません

どのような施術でも、一度で慢性痛がすべて解消するとは限りません。

一定期間の継続が必要なケースもあります。

ただし、継続することと、何も見直さず同じことを繰り返すことは別です。

改善していないにもかかわらず、評価や施術内容を変えず、保険が使えて安いという理由だけで通い続けることには、あまり合理性がありません。

◯慢性痛であっても、整形外科の受診は重要です

ここまで読むと、

慢性的な肩こりや腰痛なら、整骨院ではなく整体院や鍼灸院へ行けばよい

と思うかもしれません。

しかし、僕はそう単純には考えていません。

慢性的な痛みであっても、まず局所で何が起きているのかを確認することは、非常に重要です。

肩こりや腰痛があるからといって、すべてが筋肉の硬さや姿勢の問題とは限りません。


関節
椎間板
神経
炎症
骨折
内科的な疾患

などが関係している可能性もあります。

私たち鍼灸師や柔道整復師は、医師と同じように医学的な診断を行う立場ではありません。

そのため、痛みが続いている場合には、整形外科で診察を受け、必要に応じて画像検査などを行い、局所の状態を確認することが重要です。

 

◯整形外科での診断は、当院で施術を行う際にも重要です

整形外科を受診することと、整体や鍼灸を受けることは、対立するものではありません。

整形外科では、診察や画像検査などを通じて、痛みのある場所で何が起きているのかを医学的に確認します。

例えば、同じ腰痛でも、

椎間板の問題が確認されている
脊柱管や神経に問題がある
圧迫骨折がある
関節や骨に変化がある
画像上では大きな異常が確認されていない

など、状態はそれぞれ異なります。

何が起きているかによって、施術で注意すべきこと、避けるべき刺激、医療機関での対応を優先すべき状況も変わります。

当院で施術を行う際にも、整形外科での診断や検査結果は、大きな指標になります。

局所の状態を確認せず、すべてを「姿勢が悪いから」「筋肉が硬いから」と決めつけることは適切ではありません。

局所で何が起きているのかを医学的に確認してもらい、そのうえで、なぜその場所に負担が集まっているのかを全身のバランスから見ていくことが重要です。

 

◯整骨院の保険施術と当院の違い

整骨院の保険施術は、外傷性の負傷に対する療養費制度の範囲で行われます。

一方、当院では健康保険を使用せず、自費で施術を行っています。

保険の対象に症状を当てはめるのではなく、現在の状態と目的に合わせて、評価と施術内容を組み立てます。

当院では、肩こりや腰痛がある場所だけを見るのではなく、

整形外科での診断や検査結果
姿勢
重心位置
首肩や腰の筋緊張
背中や股関節の動き
全身の負担の偏り
日常生活での体の使い方
睡眠や疲労などの生活状況

を確認します。

肩がこっているから肩だけを揉む。
腰が痛いから腰だけをほぐす。

それだけではなく、なぜ肩や腰に負担が集まっているのかを確認することを大切にしています。

そのうえで、全身整体と鍼灸を、状態に合わせて組み合わせます。

全身整体では、姿勢や重心、背中や股関節の動きなどを確認し、特定の場所に負担が集まりにくい状態を目指します。

鍼灸では、硬くなった筋肉や痛みに関係する部位に対して、状態を確認しながら刺激を調整します。

保険制度の範囲に施術を合わせるのではなく、その方の状態と目的に合わせて、局所と全身の両方から施術を組み立てることが、整骨院の保険施術との大きな違いです。

 

◯現在、整骨院へ通っている方に確認してほしいこと

慢性的な肩こりや腰痛で整骨院に通っている方は、一度、次の点を確認してみてください。

⬜︎ 自分の症状がなぜ健康保険の対象なのか、説明を受けていますか。

⬜︎ いつ、どこで、何をして負傷したのかが明確ですか。

⬜︎ 何か月も同じ施術を受け続けていませんか。

⬜︎ 今後の目標や通院計画が共有されていますか。

⬜︎ 施術を続けても変化がない理由について説明されていますか。

⬜︎ 一度、整形外科で診察を受けていますか。

これらに答えられないまま、保険が使えて安いという理由だけで通い続けているのであれば、現在の通い方を見直す余地があります。

 

◯まとめ

整骨院や接骨院は、柔道整復師が骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷などの外傷に対して施術を行う場所です。

健康保険の対象となる範囲は限定されており、単なる肩こりや、日常生活からくる慢性的な腰痛は、原則として保険の対象ではありません。

慢性的な肩こりや腰痛に対して、整骨院の保険施術を長期間続けても改善していないのであれば、それは、あなたの体だけに問題があるとは限りません。

そもそも、慢性痛を対象としていない制度の中で、慢性痛の改善を期待し続けていること自体に、制度と目的のミスマッチがある可能性があります。

整骨院、鍼灸院、整体院では、医師のように医学的診断を行うことはできません。

まず整形外科で、局所に何が起きているのかを確認することは、適切な対応を選ぶうえでも、当院で施術内容を組み立てるうえでも重要です。

そのうえで、姿勢、重心、体の動き、筋肉の緊張、日常生活での負担まで確認する必要がある場合に、当院の全身整体や鍼灸が選択肢になります。

何か月も通っているのに改善していないのであれば、同じことを続けるのではなく、一度立ち止まって、施術の目的と通い方を見直すべきだと僕は考えています。

ぜひ参考にしてみてください。


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ボディケアルーム・鍼灸院 鴨居
野口 翔太

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