① 一般的な解説(原因・症状)
腰痛は、日本人が訴える自覚症状の中でも肩こりと並び常に上位に位置し、生涯で一度は約80%の人が経験するといわれています。
そのうち約85%は「非特異性腰痛」と呼ばれ、レントゲンやMRIなどの画像検査で明確な原因(骨折・腫瘍・感染など)が特定できないタイプです。
非特異性腰痛は、腰周囲の筋肉・靭帯・関節・椎間板などの組織が複合的に関与し、さらに生活習慣や心理社会的要因も影響して発症・慢性化します。
【原因】
◯筋・筋膜の機能障害
長時間の同一姿勢や不良姿勢(猫背、反り腰)により腰背部の筋肉や筋膜が過緊張し、血流が低下。これにより代謝産物が蓄積して痛みが発生します。
◯椎間関節や椎間板への負担
前屈や反り返りなど腰部の動作で関節包や椎間板に微細損傷が生じ、炎症や疼痛が起こります。
◯骨盤・股関節の動きの制限
股関節や骨盤周囲筋の柔軟性低下により腰部に過剰な負担がかかります。
◯心理社会的要因
ストレス、不安、抑うつ傾向などが痛みの感受性を高め、慢性化のリスクを上げます。慢性腰痛患者では中枢神経系の可塑的変化(痛みの記憶)が関与することも知られています。
【主な症状】
・腰部の鈍い痛み、重だるさ
・動作(前屈・後屈・捻り)での痛みの増悪
・長時間同じ姿勢後の動き始めの強い痛み
・慢性化すると運動や日常動作の制限、精神的苦痛を伴うことがある
② 一般的治療・施術とその予後
【一般的な治療・施術】
非特異性腰痛に対する西洋医学的アプローチは保存療法が中心です【1】【3】【4】。
・薬物療法:NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)、筋弛緩薬、アセトアミノフェン、必要に応じて抗うつ薬など(慢性化例)
・物理療法:温熱療法、低周波療法、超音波療法
・運動療法:腰背部・体幹筋のストレッチと筋力強化、股関節可動域改善
・教育的介入:「安静にしすぎない」「適度な活動を維持する」ことを指導
・心理的アプローチ:認知行動療法(慢性腰痛の場合)
【予後に関するデータ】
・急性腰痛(発症6週間以内)の多くは数週間で自然軽快する
・しかし、発症から3か月以上持続すると慢性腰痛化のリスクが高まる
・急性腰痛患者の約20〜30%が慢性化すると報告されている
・慢性化のリスク要因:強い初期痛、心理的ストレス、職業性負荷(重量物運搬、長時間座位)、既往歴
【一般的な予後の課題】
• 症状が長引くほど中枢性の痛み感作(痛みを感じやすくなる)が起こり、運動・生活習慣改善だけでは治りにくくなる
• 再発率が高く、1年以内に再発する人は約30〜60%
• 痛みに対する恐怖や回避行動が機能低下と悪循環を生む
このように、非特異性腰痛は多くの場合一時的に軽快しますが、背景要因が改善されなければ再発や慢性化を繰り返しやすい症状です。
特に3か月以上続く腰痛では、局所組織だけでなく神経系・心理社会的側面にも変化が起こっている可能性が高く、包括的なアプローチが必要になります。
③当院の肩こりへの考え方とアプローチ
【腰痛の考え方】
まずは、多く見られる所見とその関係性をイメージした図をご覧ください。


この図にある症状や不調は、すべて腰痛と関係しています。矢印が双方向になっているのは、それぞれが腰痛の原因にもなり得る一方、腰痛が原因となって現れる不調でもあることを示しています。
例えば、一見関係が薄そうに思える「腰痛」と「くいしばり」。くいしばりが起こる背景には、心身の緊張が強まり、重心が前方に偏る状態があります。この状態では、重心を保とうとして腰を反らせやすくなり、反り腰による腰部負担が増えて腰痛につながります。
施術では、くいしばりを引き起こす要因にアプローチし、心身の緊張を緩めて「くいしばらなくてもいい状態」を目指します。その結果、腰痛が起こりにくい体づくりへとつながります。
【全身整体のポイント】
全身整体には、重要な狙いが2つあります。
この2つのポイントが改善することによって肩こりの症状改善が期待できるということです。
・重心ライン
人間の重心位置は姿勢のバランスによって変化します。
通常、リラックス時は踵寄り(くるぶしの後ろあたり)にありますが、腰痛がある方は多くの場合、重心ラインが偏っています。


例えば、反り腰によって重心が前方に移動すると、腰部や背中の筋肉に過剰な緊張が生じ、腰痛の原因となります。反り腰の改善には、腰周辺だけでなく全身のバランスを整え、「自然と反り腰にならない状態」をつくることが重要です。
全身整体では、手足・頭・体幹まで含めた調整を行い、その変化を測る一つの指標として重心ラインを確認します。
・交感神経の過緊張の改善
交感神経とは、僕たちが意識しなくても24時間働いて体を調整してくれている自律神経を大きく分けた2つの役割のうち1つを担う神経です。
この交感神経は、ストレスや緊張が長く続くと、交感神経が過剰に働く「交感神経過緊張」の状態になります。
この状態では、
・筋肉のこわばり
・血流の低下
・酸素や栄養の供給不足
・痛みの感じやすさの増加
といった変化が起こり、肩こりが慢性化しやすくなります。
そこで、全身整体では不調のある肩周りに限らず、あたま・おなか・からだと全身を整えこの交感神経の過緊張を緩めることを目指します。
交感神経が落ち着いたサインとしても、先ほどの重心ラインの変化が参考になります。
この2つの改善によって、腰痛を引き起こす要因そのものが減り、症状の緩和が期待できると僕たちは考えています。
【鍼灸との組み合わせ】
症状が強い方や筋肉の張りが顕著な方には、全身整体に加えて鍼治療をご提案します。
鍼治療での狙いと研究によるエビデンスをご紹介します。
・血流の改善
適切な刺激量の鍼操作で、患部周囲の微小循環(皮膚・筋血流)が上昇し、圧痛低下と相関する変化が見られます(Sandberg et al., 2003; Min et al., 2015)。
簡単にいうと…
適切な鍼刺激によって鍼を刺した場所の血流が良くなり、痛みの軽減がしたという結果になった
・痛みの抑制
局所ではアデノシンA1受容体や免疫細胞由来のβ-エンドルフィンを介した末梢性鎮痛、中枢では内因性オピオイドと下行性抑制系による鎮痛が起こることが報告されています(Goldman et al., 2010; Shi et al., 2023; Han, 2004)。
簡単にいうと…
鍼を刺すことで、痛み止めシステムが働くという結果が出た
当院では、まず全身整体で肩こりを感じにくい・起こしにくい体を整え、その上で必要に応じて鍼治療を加えることで、血流促進と痛み抑制の両面からアプローチします。


【まとめ】
腰痛は「腰の筋肉が硬いから」という単純な理由だけで起こるものではありません。姿勢バランスの崩れ(重心ラインの偏り)や自律神経の乱れ(交感神経過緊張)など、全身の状態が深く関わっています。
ボディケアルーム・鍼灸院鴨居では、
・全身整体で重心ラインと自律神経を整え、腰痛の原因にアプローチ
・必要に応じて鍼治療を組み合わせ、血流促進と痛み抑制をサポート
この2つの柱で、腰痛を「起こりにくく、続きにくい状態」へ導くことを目指しています。
腰痛は長引くほど改善に時間がかかる傾向があります。
「ずっと我慢している」「一時的に良くなってもまた戻ってしまう」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
早い段階で体のバランスと神経・血流を整えることで、日常生活の快適さは大きく変わります。
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ティップネス鴨居内にある鍼灸・整体院
ボディケアルーム・鍼灸院 鴨居
野口 翔太
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参考文献
1. Airaksinen O, et al. European guidelines for the management of chronic nonspecific low back pain. Eur Spine J. 2006;15 Suppl 2:S192–S300.
2. Chou R, et al. Diagnosis and treatment of low back pain: a joint clinical practice guideline from the ACP/APS. Ann Intern Med. 2007;147(7):478–491.
3. Qaseem A, et al. Noninvasive treatments for acute, subacute, and chronic low back pain: ACP guideline. Ann Intern Med. 2017;166(7):514–530.
4. Koes BW, et al. An updated overview of clinical guidelines for the management of non-specific low back pain in primary care. Eur Spine J. 2010;19(12):2075–2094.
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6. Costa LdaCM, et al. Prognosis for patients with chronic low back pain: inception cohort study. BMJ. 2009;339:b3829.
7. (訂正) Hayden JA, et al. Exercise therapy for chronic low back pain. Cochrane Database Syst Rev. 2021;9:CD009790. ※2005年版は Cochrane Database Syst Rev. 2005;3:CD000335(別文献)です。