「マッサージを受けてもすぐ戻る」
「ストレッチを続けているのに変わらない」
「湿布や痛み止めでごまかしているけど、根本的には楽にならない」。
慢性的な肩こりで来院される方から、僕がこの4年間で最も多く聞いてきた声です。肩こりは身近な不調として扱われやすい一方で、慢性化しているケースほど、原因が複数重なり、対処がズレやすいと僕は感じています。
ここで最初にお伝えしたいのは、肩こりを「肩の筋肉が硬いから」とだけ捉えると、改善の糸口を見落としやすいということです。もちろん筋肉の緊張は起きています。
ただ、その緊張が「なぜ続くのか」「なぜすぐ戻るのか」を説明するには、筋肉だけでは情報が足りないことが多いと僕は考えています。
この記事では、筋肉・神経・姿勢(構造)・回復(自律神経や睡眠)・生活負荷という5つの観点から、慢性肩こりが改善しにくい理由を整理します。最後に、当院がどのような順番で状態を整理し、施術と提案を組み立てているのかも具体的に書きます。
◯まず整理:肩こりは結果として出ていることが多い
肩こりという症状は、僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋、胸鎖乳突筋、斜角筋群など、首肩周囲の筋が過剰に働き続けた結果として出ることが多いと考えています。
つまり、肩こりは原因ではなく結果であることが多い、という整理です。結果だけを一時的に軽くしても、結果が生まれる仕組み(負担のかかり方)が変わらなければ戻ります。
この戻るこそが慢性化の中心だと僕は考えています。
◯筋肉の話:揉めば軽くなるのに、なぜ戻るのか
揉みほぐしや温熱でその場が軽くなるのは、局所の循環が一時的に上がったり、筋の張力が下がったり、痛みの感じ方が変化したりするからだと考えられます。
ただし慢性化している場合、筋肉は「硬くなっている」というより「休めていない」状態になっていることが少なくありません。休めていない筋は、緩んでもまた働かされます。
働かされる理由は、姿勢・重心・呼吸・視線・作業姿勢・ストレス・睡眠など、筋の外側にあります。ここを見ずに硬い筋だけを追い続けると、施術直後は良くても数日で戻る、という流れになりやすいと僕は感じています。
◯神経の話:過敏化と防御反応で、肩が勝手に緊張する
慢性肩こりでは、筋肉だけでなく神経系の状態が関与していることがあります。
神経は筋へ命令を出すだけでなく、体の危険度を評価し、守る方向へ調整する役割も担っています。
負担が長期化すると、体は「ここは危ない」と学習し、筋を防御的に緊張させやすくなることがあります。
これが続くと、軽い刺激や小さな負担でも、筋が先回りして固くなる、あるいは違和感が出やすくなる、という状態が起こり得ます。
このような状態は、一般に過敏化(刺激に対して反応しやすくなる状態)と呼ばれます。
ここで重要なのは、過敏化があると原因の大きさと症状の強さが一致しないことがある、という点です。
たとえば、構造的には軽い偏りでも、神経の設定が過敏だと強くつらく感じることがあります。逆に、強い刺激で一時的に楽に感じるのは、神経が抑制されて感覚が鈍くなっているだけ、ということも起こり得ます。
つまり、強い刺激=回復ではない可能性がある、ということです。
この神経の過敏化や、痛みが長引くときに起こり得る神経系の変化については、痛みの領域で「中枢性感作(central sensitization)」として整理され、診断や治療の考え方に影響するという議論もあります(慢性痛における神経系の感受性変化の概念整理として知られています)。
そのため、慢性的な肩こりを考えるときも、筋の硬さだけでなく、神経の設定や防御反応を含めた視点が必要になる場面があると僕は考えています。
◯自律神経の話:交感神経の過緊張が緩めにくさを作る
慢性的な肩こりの方ほど、交感神経(活動モード)が高い状態が続いている印象があります。交感神経が過緊張(常に頑張るモード)になると、筋は防御的に硬くなりやすく、血管は収縮しやすく、回復に関わる副交感神経(休養モード)が働きにくい状態になりやすいとされています。
結果として、筋は緩みにくい、寝ても疲れが抜けない、日中も呼吸が浅い、という回復の弱さが背景に残り続けます。
ここで誤解が生まれやすいのは、肩こりを血流だけの問題として単純化してしまうことです。血流はもちろん重要ですが、血管の収縮や拡張は自律神経の影響を受けます。
つまり、交感神経が過緊張のままだと、局所を温めても、その後の生活でまた収縮方向へ戻りやすい、という構造が起こり得ます。
そのため当院では、局所を緩めるだけでなく、神経が落ち着きやすい刺激量や順番を意識し、施術後に体が回復モードへ入りやすい条件を整えることを重視しています。
◯姿勢と重心の話:肩が頑張らざるを得ない形になっている
慢性的な肩こりを語る上で、姿勢と重心は外せません。
頭は重く、前に出れば出るほど首肩の筋は支え続けなければいけません。
前方頭位(頭が前に出る姿勢)が続くと、僧帽筋上部や肩甲挙筋、脊柱起立筋などの抗重力筋(重力に抗して姿勢を保つ筋)が休めなくなります。
抗重力筋は必要なときに働き、休むときは緩むのが理想ですが、重心が前に偏るほど「倒れないために常に支える」状態が強くなり、筋は休みづらくなります。
さらに、胸郭(肋骨まわり)の動きが小さい、胸椎が固い、骨盤が後傾して背中が丸い、という要素が重なると、肩甲骨は前に流れ、首肩に負担が集まりやすくなります。
この時、肩こりは肩が悪いというより、肩に仕事が集中している状態だと僕は考えています。仕事が集中している場所をいくら揉んでも、仕事量(負担のかかり方)が変わらなければ戻ります。
そのため当院では、症状の場所だけでなく、負担の分配がどうなっているかを見ていきます。
姿勢と負担の関係については、頭部の前方偏位や頸部屈曲角度が増えることで頸椎や周囲組織への力学的負荷が増える、という考え方が広く参照されています。
特にスマホ使用時の頭部屈曲角度を計測した研究などでも、頭部屈曲が一定時間続く生活負荷が首周りの負担と結びつき得ることが示唆されています(負荷の増え方はモデル化や条件設定に依存するため、絶対値の断定は避けるべきですが、方向性としての示唆は得られます)。
◯呼吸の話:浅い呼吸は首肩の過活動と相性が悪い
呼吸の浅さは、肩こりの背景としてよく見かける要素です。
呼吸が浅いと、胸郭の可動が小さくなり、補助呼吸筋(呼吸を助ける首肩周囲の筋)が働きやすくなることがあります。
斜角筋や胸鎖乳突筋、僧帽筋上部が呼吸の手伝いをする場面が増えると、肩周りは休めません。本人は呼吸を意識していなくても、体は呼吸を続けるために必要な筋を使い続けます。
つまり、呼吸が浅いだけで首肩は勝手に忙しくなります。ここが変わらないまま肩だけをほぐしても、生活に戻った瞬間に同じ筋がまた働き出します。
◯刺激の話:強い押圧が効いた感じを作る仕組み
強く押されると効いている気がする、という感覚自体は自然です。
ただし、効いた感じと改善は一致しないことがあります。生理学の概念としてアルント・シュルツの法則(弱い刺激は促進、強すぎる刺激は抑制に働くことがある、という考え方)があります。
押圧に置き換えると、適度な刺激は神経が情報として受け取り、筋緊張の調整や循環の変化につながる可能性があります。一方で強すぎる刺激は、防御反応を引き起こしたり、痛みを感じにくい方向へ一時的に働いたりすることがあります。これがその場で楽に感じる一因になり得ます。
ただし、痛みを感じにくい状態は、必ずしも回復ではありません。
構造が変わらず、負担のかかり方が同じなら、体はまた同じ場所を守ろうと緊張させます。
その結果、翌日のだるさ、揉み返し、緊張のぶり返しが起きることがあります。
そのため当院では、必要以上に強い刺激を基本にしません。
弱いという意味ではなく、神経が落ち着く刺激量で、回復モードへ切り替わりやすい条件を優先する、という意味です。
◯生活負荷の話:同じ生活なら、同じ場所が壊れやすい
慢性肩こりが戻る大きな理由は、生活の負荷が変わっていないことです。
デスクワーク、スマホ、家事、育児、運転、睡眠不足、ストレス。体はこれらに適応しますが、適応の仕方が偏ると特定の部位に負担が集中します。
施術はその偏りを整える手段の一つですが、施術の外側で同じ負荷が繰り返されれば、同じ場所がまた頑張ります。
そのため当院では、生活の中で何が負担の引き金になっているかを責めずに整理することを大切にしています。原因探しではなく、負担の分配の整理です。
◯セルフケアが効きにくい人の共通点チェック
ここまでの話を、実感に落とすためにチェック項目を置きます。
どれが当てはまるかで原因が確定するわけではありませんが、負担が戻りやすい背景を推測する材料にはなると僕は考えています。
・肩を回すと一瞬は軽いが、30分〜数時間で戻る
・朝より夕方に悪化しやすい
・深呼吸をすると胸より首肩が先に動く感じがある
・目の疲れ、食いしばり、寝起きのだるさがセットで出る
・休みの日に力が抜けず、逆に疲れが出やすい
・首を触られるのが苦手、くすぐったい、痛みに敏感
こうした傾向がある場合、筋肉の硬さそのものより、神経の緊張設定や姿勢の負担分配が関与している可能性が高いと僕は考えています。
◯当院で行う整理の中身:何をどう確認しているのか
全身のバランスを見ると言っても曖昧に聞こえるかもしれません。
もう少し具体的に書きます。
当院では、症状の場所を触る前に、立位や座位の重心の偏り、頭部位置、胸郭と骨盤の関係、呼吸の入り方、肩甲骨の位置と動き、頸部の緊張の出方などを観察します。
次に、つらさが出る動作や生活パターンを伺い、負担が集中する場面を言語化します。ここで大切にしているのは、原因探しで相手を責めることではなく、負担の構造を一緒に把握することです。
そのうえで施術では、強い刺激で押し切るのではなく、神経が落ち着きやすい刺激量で、まず過緊張をほどく方向へ持っていきます。
緩んだら終わりではなく、緩んだ状態で動きやすさや呼吸の変化が出るかを確認し、必要に応じて全身のつながりを整えます。
施術後には、戻りやすい生活場面に対して、最小限で実行しやすい提案を添えます。セルフケアの量を増やすより、負担のかかり方を減らす工夫のほうが、結果につながりやすいケースが多いと僕は感じています。
◯よくある誤解:姿勢を正せば治る、ではない
姿勢の話を書くと、じゃあ姿勢を意識すればいいんですね、となりがちですが、僕はそこも単純ではないと考えています。
姿勢は意思だけで変えるものではなく、体が選んでいる楽な支え方の結果であることが多いからです。
たとえば、胸郭が硬い人が胸を張ろうとすると腰を反らせてしまうことがあります。頭を引こうとして顎を引きすぎ、首の後ろを固めてしまうこともあります。
そのため当院では、正しい姿勢を押し付けるよりも、体が無理なく戻れる支え方を作ることを優先します。
結果として姿勢が変わる、という順番を大切にしています。
◯受診の目安:見逃してはいけないサイン
肩こりの多くは生活負荷と回復の問題で説明できることが多い一方で、医療機関での確認が必要なケースもあります。
たとえば、突然の激しい頭痛を伴う、しびれや筋力低下が進む、胸の痛みや息苦しさがある、発熱や原因不明の体重減少がある、夜間痛で眠れないほど強い、外傷後に悪化している、などは早めに医療機関での評価が望ましいと考えます。
当院は医療の代替ではありません。必要な場合は医療へつなぐ判断も含めて、まず状態を整理します。
◯最後に:情報が多い時代ほど、整理の価値が上がる
慢性的な肩こりが長引くほど、本人は努力しています。
ストレッチも、筋トレも、姿勢も、睡眠も、できることを試しています。
それでも変わらない時は、努力が足りないのではなく、優先順位がズレている可能性があると僕は考えています。筋肉、神経、姿勢、回復、生活負荷。このどこに戻る仕組みが残っているのかを一緒に整理し、必要な順番で整えていく。
僕はこのプロセスにこそ価値があると考えています。
ここまでを、もう少し具体的な結論に落とします。
慢性的な肩こりが改善しにくい方ほど、次のどれかが残っていることが多いと僕は感じています。
・肩をほぐしても、負担の分配(姿勢と重心)が変わっていない
・神経が過敏になり、守る方向へ緊張が固定されている
・交感神経の過緊張が続き、回復モードへ切り替わりにくい
・呼吸や胸郭の動きが小さく、首肩が補助呼吸で働き続けている
・生活負荷が整理されておらず、戻る条件が毎日そろっている
このどれが残っているかで、優先順位も施術の順番も変わると僕は考えています。
当院では、強い刺激で一時的に軽くするよりも、まず戻る仕組みを特定し、負担のかかり方と回復の条件を整えることを重視しています。
都筑区で慢性的な肩こりにお悩みの方へ。強い刺激でその場をしのぐのではなく、負担のかかり方と回復の条件を一緒に整理し、痛みや重だるさを気にせず過ごせる状態を目指したい方は、ご相談ください。
木曜日は比較的空きが多く、平日夜21:00までご案内しやすい日もあります。
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